ば、彼女を思ひ知らせるには、さうだ! 彼女を思ひ知らせるには。
さう考へたとき、彼の全身の血は、海嘯《つなみ》のやうに、彼の狂ひかけた頭へ逆上して来た。
破裂点
一
強羅公園で、お互の心からなる浄い愛に、溶け合つた美奈子と瑠璃子とが、其処に一時間以上も費して、宮の下へ帰つて来たのは、夜の十時を廻つた頃だつた。
二人とも、心の裡では、青年のことが気になつてゐたけれども、それを口に出すことを避け合つた。
が、部屋へ入つたとき、瑠璃子は遉《さすが》に青年の寝室の扉《ドア》に立ち寄つて、そつと容子を窺つた。
「もう、青木さんは寝たのかしら。」
さう云つて、彼女は扉《ドア》に手をかけて見た。それは平素《いつも》[#ルビの「いつも」は底本では「いつち」]になく内部から、鍵が、かけられたと見え、ビクリとも動かなかつた。
「あゝ。もう、寝ていらつしやる!」
瑠璃子は、やつと安堵したやうに云つた。
美奈子と瑠璃子とが、同じ寝室に入つて、寝台《ベッド》の中に横はつたのは、もう十一時を廻つた頃だつた。
電燈を消してからも、美奈子は母と暫らくの間、言葉を交へた。その裡
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