が、頻りに痙攣し、太い巨きい四肢は、最後のあり丈《たけ》の力を籠めたやうに、烈しく畳の上にのたうつた。
「水! 水!」
 勝平は、苦しさうな呻き声を洩した。
 女中が、転がるやうに持つて来た水を、コップのまゝ口へ注がうとしたが、思ひ通《どほり》にはならないらしい口辺の筋肉は、当《あて》がはれたコップの水を、咽喉の辺から胸にかけて滾《こぼ》してしまつた。瑠璃子は、それを見ると、コップの水を一息飲みながら、口移しに勝平の口中へ注いでやつた。名ばかりではあるが、妻としての情であつた。
 水に依つて、湿《うるほ》された勝平の咽喉は、初めてハツキリした苦悶の言葉を発した。
「あゝ苦しい。胸が苦しい。切ない。」
 彼は、さう叫びながら、心臓の辺《あたり》を幾度も掻きむしつた。
「直ぐ医者が参ります。もう少しの御辛抱です。」
 瑠璃子も、オロ/\しながら、さう答へた。瑠璃子の言葉が、耳に通じたのだらう。彼は、空虚《うつろ》な視線を妻の方に差し向けながら、
「瑠璃子さん、俺《わし》が悪かつた。みんな、俺《わし》が悪かつた。許して下さい!」
 彼は、身体中に残つた精力を蒐めながら、やつと切々に云つた。つ
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