い! 繃帯を持つて来い! なければ白木綿だ! 近藤さんを呼べ! さうだ! 自動車を迎へにやれ! ゐなかつたら、誰でもいゝ外科の博士を。さうだ! その前に、誰でもいゝから、近所の医者を呼んで来い! 早く、早く、早くだ!」
狼狽して、前後左右にたゞウロ/\する、召使の男女を荘田は声を枯して叱咤した。彼はさう云ひながらも、右の掌で、娘の傷口を力一杯押へてゐるのだつた。
直也は、自分の放つた弾丸が、思ひがけない結果を生んだのを見ながら、彼は魂を奪はれた人間のやうに、茫然として立つてゐた。色は土の如く蒼く、眼は死魚のそれのやうに光を失つた。彼はまだ短銃《ピストル》を握つたまゝ、突つ立つてゐた。直也の父も、木下も、此の犯人の手から、短銃《ピストル》を奪ひ取ることさへ忘れて居た。殊に、子爵の顔は子のそれよりも、血の気がなかつた。彼は自分の罪が、ヒシ/\と胸に徹《こた》へて来るのを感じた。自分の野卑な、狡猾な行為が、子の上に覿面《てきめん》に報いて来たことが、恐ろしかつた。彼は、子の短慮と暴行とを叱すべき言葉も、権威も持つてゐなかつた。彼の身体を支へてゐる足は、絶えずわな/\と顫へた。
荘田は、
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