もう一人の人間とに、思ひ知らしてやればいいのだよ。」
 荘田は、何物も恐れないやうに、傲然と云ひ放つた。
 丁度、その時だつた。荘田の背後の扉《ドア》が、ドン/\と、激しく打ち叩かれた。
「電報! 電報!」と、誰かゞ大声で叫んだ。

        二

「電報! 電報!」
 扉《ドア》は、続け様に割れるやうに叩かれた。今迄、傲然と反り返つてゐた荘田は、急に悄気切つてしまつた。彼はテレ隠しに、苦笑しながら、
「おい! 勝彦! おい! よさないか、お客様がゐるのだぞ。おい! 勝彦!」
 客を憚つて、高い声も立てず、低い声で制しようとしたが、相手は聴かなかつた。
「電報! 電報!」強い力で、扉《ドア》は再び続けざまに、乱打された。
「まあ! お兄様! 何を遊ばすのです。さあ! 彼方《あつち》へ行らつしやい。」優しく制してゐる女の声が聞えた。
「電報だい! 電報だい! 本当に電報だよ、美奈さん。」男は抗議するやうに云つた。
「あら! 電報ぢやありません、お客様の御名刺ぢやありませんか、それなら早くお取次ぎ遊ばすのですよ。」
 さうした問答が、聞えたかと思ふと、扉《ドア》が音もなく開いて、十六
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