、呟くやうに語り始めた。
「まあ、何を仰《おつ》しやるのでございます、死ぬなどと。まあ何を仰しやるのでございます。一体何うしたと云つて、そんな事を仰しやるのでございます。」
「あゝ恥しい。それを訊いて呉れるな! 俺《わし》はお前にも顔向けが出来ないのだ! 彼奴《あいつ》の恐ろしい罠に、手もなくかゝつたのだ。あんな卑しい人間のかけた罠に、狐か狸かのやうに、手もなくかゝつたのだ。恥しい! 自分で自分が厭になる!」
父は、座にも堪へないやうに、身悶えして口惜しがつた。握つてゐる拳がブル/\と顫へた。
「彼奴と仰《おつ》しやりますと、やつぱり荘田でございますか。荘田が、何をいたしましたのでございますか。」
瑠璃子も烈しい昂奮に、眼の色を変へながら、父に詰め寄つて訊いた。
「今から考へると、見え透いた罠だつたのだ。が、木下までが、俺《わし》を売つたかと思ふと俺《わし》は此の胸が張り裂けるやうになつて来るのだ!」
父は、木下が眼前《めのまえ》にでもゐるやうに、前方を、きつと睨みながら、声はわな/\と顫へた。
「へえ! あの木下が、あの木下が。」と、瑠璃子も暫らくは茫然となつた。
「金《かね》
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