なやか」に傍点]な身体を、思ひ切り扉《ドア》に投げ付けて見た。が、扉《ドア》は無慈悲に、傲然と彼女の身体を突き返した。
彼女は、血を吐かんばかりに叫んだ。
「お父様! なぜ、開けて下さらないのです。何う遊ばさうと云ふのです。此瑠璃を捨てゝ置いて何う遊ばさうと云ふのです。万一の事をなさいますと、瑠璃も生きてゐないつもりでございますよ。お父様! お恨みでございます。どんな事情がございませうとも、私に一応話して下さいましても、およろしいぢやございませんか。お父様の外に、誰一人頼る者もない瑠璃ではございませんか。お開け下さいませ。兎に角、お開け下さいませ。万一の事でもなさいますと、瑠璃はお父様をお恨みいたしますよ。」
狂つたやうに、扉《ドア》を掻き、打ち、押し、叩いた後、彼女は扉《ドア》に、顔を当てたまゝよゝと泣き崩れた。
その悲壮な泣き声が、古い洋館の夜更の暗を物凄く顫はせるのだつた。
三
よゝと泣き崩れた瑠璃子は、再び自分自身を凜々しく奮ひ起して、女々しく泣き崩れてゐるべき時ではないと思つた。彼女は、最後の力、その繊細な身体にある丈《だ》けの力を、両方の腕にこめ
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