くち》の上《うえ》に来《き》ました。見《み》るとたくさんの野鴨《のがも》が住《す》んでいます。子家鴨《こあひる》は疲《つか》れと悲《かな》しみになやまされながらここで一晩《ひとばん》を明《あか》しました。
朝《あさ》になって野鴨達《のがもたち》は起《お》きてみますと、見知《みし》らない者《もの》が来《き》ているので目《め》をみはりました。
「一体《いったい》君《きみ》はどういう種類《しゅるい》の鴨《かも》なのかね。」
そう言《い》って子家鴨《こあひる》の周《まわ》りに集《あつ》まって来《き》ました。子家鴨《こあひる》はみんなに頭《あたま》を下《さ》げ、出来《でき》るだけ恭《うやうや》しい様子《ようす》をしてみせましたが、そう訊《たず》ねられた事《こと》に対《たい》しては返答《へんとう》が出来《でき》ませんでした。野鴨達《のがもたち》は[#「野鴨達は」は底本では「野鴨達に」]彼《かれ》に向《むか》って、
「君《きみ》はずいぶんみっともない顔《かお》をしてるんだねえ。」
と、云《い》い、
「だがね、君《きみ》が僕達《ぼくたち》の仲間《なかま》をお嫁《よめ》にくれって言《い》いさえしなけ
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