ま》ん中《なか》が深《ふか》い水溜《みずだま》りになっています。全《まった》く、こういう田舎《いなか》を散歩《さんぽ》するのは愉快《ゆかい》な事《こと》でした。
その中《なか》でも殊《こと》に日当《ひあた》りのいい場所《ばしょ》に、川《かわ》近《ちか》く、気持《きもち》のいい古《ふる》い百姓家《ひゃくしょうや》が[#「百姓家が」は底本では「百性家が」]立《た》っていました。そしてその家《いえ》からずっと水際《みずぎわ》の辺《あた》りまで、大《おお》きな牛蒡《ごぼう》の葉《は》が茂《しげ》っているのです。それは実際《じっさい》ずいぶん丈《たけ》が高《たか》くて、その一番《いちばん》高《たか》いのなどは、下《した》に子供《こども》がそっくり隠《かく》れる事《こと》が出来《でき》るくらいでした。人気《ひとけ》がまるで無《な》くて、全《まった》く深《ふか》い林《はやし》の中《なか》みたいです。この工合《ぐあい》のいい隠《かく》れ場《ば》に一|羽《わ》の家鴨《あひる》がその時《とき》巣《す》について卵《たまご》がかえるのを守《まも》っていました。けれども、もうだいぶ時間《じかん》が経《た》って
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