が、印度紳士はたまらなくなったらしく、眼に手をかざして、床を見つめました。
セエラは語り終ると、こういいました。
「で、私、こういうことを考えていたのよ。何かしてあげたいってつもり[#「つもり」に傍点]になっていたのよ。」
「どういうことをしてあげたいのだね? 女王殿下《プリンセス》。何でも、お好きなことを遊ばしませ。」
セエラは、ややためらいながらいいました。
「私、あの――私には大変なお金があると仰しゃったわね。だから、私あの、あのパン屋のおかみさんの所へ行って、こういおうかしらと思っていましたの。ひもじそうな子が――殊にひどいお天気の日などに、店の前に来て坐ったり、窓から覗いていたりしていたら、呼び入れて、食べさしてやってくれって。そして、その書付《かきつけ》は、私の方に廻してくれって。――そんなことをしてもいいでしょうか?」
「いいとも。早速、明日の朝行って来たらいいだろう。」
「うれしいわ。ね、私、ひもじい苦しみは身に沁みて味っているでしょう。ひもじい時には、何かつもり[#「つもり」に傍点]になったって、ひもじさを忘れることは出来ないのよ。」
「そうとも。うむ、そうだろう
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