たのにね。あなたはきっとセエラ・クルウだと答えたでしょう。そうすれば、あなたを探す世話もなかったのに。」
そこへ、カアマイクル夫人が入って来たのでした。夫人はひどく感動しているようでした。彼女は、ふいにセエラを抱きしめて接吻しました。
「嬢やは、すっかりたまげているのね。でも、驚くのに不思議はありませんわね。」
セエラは、何といわれても、次の一事よりほか考えられませんでした。彼女は閉った書斎の扉の方をちらと見ていいました。
「あの方ね、あの方が、お父様のその、悪いお友達だったの? ほんとうにそうなの?」
カアマイクル夫人は泣きながら、またセエラに接吻しました。この子は永いこと接吻などされたことはなかったのだから、何度も何度も接吻してやらなければならない、と夫人は思いました。
「あの方は、決して悪い方じゃアなかったのですよ。あの方は、あなたのお父様のお金を、失くしてしまったわけではないのですよ。ただお失くしになったと思っただけなのですよ。それに、あの方はお父様を愛していらしったからこそ、悲しみのあまり御病気になって、一時は気さえ確かではなかったほどなのですよ。あの方も、熱病で死にそ
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