に、あの子はまるで、まだ宮様《プリンセス》かなんぞのように、しゃんとしているんったもの。」
「姉様、憶えていらしって? あの、いつかセエラが教室でこういった時のことを。先生はどうなさるでしょう、もし私が――」
「そんなこと憶えちゃアいないよ。つまらないことはいうものじゃない。」
争われないもので、ベッキイも近頃はむくむく肥り出し、何か落ちつきが出て来ました。肥るまいと思っても肥り出し、怯えようとしても怯えられなくなったのだから仕方ありません。彼女もやはり、誰も知らないあのお伽噺のおかげを蒙《こうむ》っていたからでした。今は彼女も、敷蒲団は二枚あるし、枕も二つ持っています。毎晩温かな御飯を食べ、火の燃えている炉のそばに坐ることが出来るのでした。バスティユの牢獄はいつか消え去り、囚人は影も見えなくなりました。その代りに二人の幸せな子供が、よろこびにひたっているばかりでした。時とすると、セエラは書物を取り上げ、声を出して読んだりしました。時とするとまた、じっと炉の火を見詰め、あのお友達は誰だろう、どうかして自分の胸に感じていることを、その人に伝える術はないものだろうか、などと思いに耽りまし
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