出して行きました。二人が見えなくなると、メルチセデクはほっとして、パン切でも落して行きはしなかっただろうかと、そこらを駈け廻りはじめました。
十五 魔法
セエラがお使から帰ってくると、隣家《となり》では、ラム・ダスが鎧戸を閉めているところでした。セエラは鎧戸の間から、ちらと部屋の中を覗きました。覗く拍子に、もうずいぶん長いこと綺麗な部屋の中に入ったことはないなと思いました。
窓の中にはいつものように、赤々と火が燃えており、印度紳士は相変らず悩ましげに、頭を抱えて坐っておりました。
「お可哀そうに! あんなにして、何を考えていらっしゃるのかしら?」
紳士が考えていたのは、次のような事でした。
「もし――せっかくカアマイクル君がモスコウに行ってくれても、その娘が我々の捜している子供でなかったら、どうすればいいのだろう。」
セエラは家《うち》に入ると、いきなりミンチン先生に、遅いといって叱られました。料理番も叱られたあとだったので、殊更ひどくセエラにあたりました。
「あの、何かいただけませんか?」
セエラは元気のない声で訊ねました。
「お茶は出からしで、もう駄目だよ
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