が――私の忘れたことのないあの子が――ひょっとして――いやほんとに、隣家《となり》のその気の毒な娘みたいな境涯《きょうがい》におちこむようなことも、ないとはいえないだろう。」
「もし、パリィのパスカル夫人の学校にいた子が、あなたの捜している娘だとすると――」カアマイクル氏は、宥めるようにいいました。
「あの子は、何不自由なく暮しているはずですね。そのロシヤ人は、非常な金持で、死んだ自分の娘と仲よしだったというので、あの子をもらい受けたという話ですからね。」
「そして、パスカルという女は、あの子がどこへ伴れて行かれたかは、ちっとも御存じないのだからな。」
 カアマイクル氏は、肩をすぼめました。
「何しろ、あの女は抜目のない、俗物のフランス女ですからね。父親を失って、仕送りの絶えたあの子を、うまい具合に手離すことが出来たので、大よろこびだったらしいですよ。すると、養父母達は、あとかたも見せず行方をくらましてしまったわけさ。」
「だが、君は、その子が、もし[#「もし」に傍点]私の捜している子であったら[#「たら」に傍点]、というんだろう。『もしも』とね。『確かに』じゃアないんだ。それに、名前
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