、セエラはどうして猿を捕えたらいいか、判りませんでした。下手に捕えようとして、逃げ失せられでもすると大変です。で、セエラは、昔ならい覚えた印度の言葉で、
「あの猿は、私に捕るでしょうか?」と、訊ねました。
 男は、セエラが自分の国の言葉で話すのを聞くと、ひどく驚き、同時に喜びました。そしてべらべらと、その言葉でしゃべり始めました。彼の名はラム・ダスというのだそうでした。猿はなかなかいうことを聞かないだろうから、セエラが許してくれるなら、自分が行って捕えようと、彼はいいました。
「でも、屋根と屋根との間を飛んで来られて?」
「造作ないことです。」
「じゃア来てちょうだい。怯えて向うへ行ったり、こっちへ来たり、大騒ぎしているから。」
 ラム・ダスは、天窓からするりと屋根の上に上ると、生れてから今まで屋根を渡って暮して来たかのように、身も軽々とセエラの方へ渡って来ました。彼[#「彼」は底本では「後」]は足音も立てず、天窓からセエラの部屋に辷《すべ》りこみ、セエラに向き直って、印度流の額手礼《サラアム》をしました。猿はラム・ダスを見ると小さな叫声《さけびごえ》を揚げました。が、彼が天窓を閉めて
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