車がその家《うち》の前に止っていました。セエラは運びこまれる家具の類から、そこに住むのがどんな人か、たいてい想像のつく気がしました。
「お父様と初めて来た時、ここのお道具はミンチン先生そっくりだ、と思ったことがあったわ。大屋敷にはきっと、むくむくした肱掛椅子《ひじかけいす》や、寝椅子《ソファー》があるに違いないわ。あの紅い壁紙の色だって、大屋敷の人達のように温かで、親切そうで、幸福そうに見えるわ。」
 引越の荷車からは、丹念に加工した麻栗樹《チイク》の卓《テーブル》や、東洋風に縫取《ぬいとり》の施してある衝立《ついたて》などが下されました。それを見ると、セエラは妙に懐郷的《ノスタルジャー》な気持になりました。彼女は印度にいた時には、よくそうしたものを見たものでした。ミンチン先生に取り上げられたものの中にも、彫刻のある麻栗樹《チイク》の机が一つあったのでした。
「綺麗なお道具だこと! きっとこれを持ってるのは立派なお方よ。大がかりなところもあるから、お金持なのかもしれないわ。」
 その家具には、どこか東洋的なところがある上、立派な仏殿《ぶつだん》に入った仏像が一つ運び出されたのを見ると、
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