もん》の傍《そば》まで行くと、そこで盗品をわけ合って、この男にも麻袋《あさぶくろ》一枚|呉《く》れた。その強盗の首領株と云うのは中肉中背の優美な男で年は二十四、五らしい。胴腹巻《どうはらまき》をして、左右の手にはこてをして長刀を持っている。直衣袴《のうしばかま》の裾《すそ》を緋《ひ》の糸で、くくったのをはいている。この男が、いろいろ指図《さしず》をしているが、他はまるで従者のように、素直に云うことをきいている。分配が終ると、皆《みな》それぞれの方角に歩き出した。男は、この首領の後をつけてやろうと思い、十五、六間も後から、気取られないように、そっと尾行《びこう》した。すると、朱雀を南の方へと、四条通まで行った。四条通を東へ行ったが、そこまではハッキリ姿が見えたが四条大宮の大理(検非違使別当のことである)の家の西の門のところで、ふと姿が見えなくなった。つまり強盗のあとをつけていくと警視|総監《そうかん》の官舎の裏門の所でふと見えなくなったわけである。

       二

 男は、なおもそのあたりをかけめぐって探したが、相手のかげはどこにもない。強盗の張本が、検非違使の官邸《かんてい》の中
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