四条畷の戦
菊池寛
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)赫々《かくかく》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)尊氏|丈《だけ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#「」」は底本では「』」]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)かず/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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建武中興の崩壊
中島商相が、足利尊氏のために、災禍を獲た。尊氏の如く朝敵となったものは、古来外にも沢山ある。朝敵とならないまでも、徳川家康以下の将軍などは、それに近いものである。殊に温厚そうに見える二代将軍秀忠の如き、朝廷に対して、悪逆を極めている。
だが、尊氏|丈《だけ》が、どうして百世の下、なお憎まれ者になっているか。それは、純忠無比な楠公父子を向うに廻したからである。尤も、中島商相を弾劾した菊池中将(九州の菊池神社を中心として、菊池同族会なるものあり、中将はその会長である。自分もその会員である)の先祖たる菊池氏も亦、五百年間勤王|一途《いちず》の忠勤をつくした家柄で、山陽を
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