私の日常道徳
菊池寛

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)欣《よろこ》んで

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一、私は自分より富んでいる人からは、何でも欣《よろこ》んで貰うことにしてある。何の遠慮もなしに、御馳走にもなる。総じて私は人から物を呉れるとき遠慮はしない。お互に、人に物をやったり快く貰ったりすることは人生を明るくするからだ。貰うものは快く貰い、やる物は快くやりたい。
一、他人に御馳走になるときは出来るだけ沢山喰べる。そんなとき、まずいものをおいしいと言う必要はないが、おいしいものは明らかに口に出してそう言う。
一、人と一しょに物を喰ったとき、相手が自分よりよっぽど収入の少い人であるときは、少し頑張ってもこちらが払う。相手の収入が相当ある人なら、向うが払うと言って頑張れば払わせる。
一、人から無心を言われるとき、私はそれに応ずるか応じないかは、その人と自分との親疎によって定める。向うがどんなに困っていても、一面識の人なれば断
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