る。
一、私は生活費以外の金は誰にも貸さないことにしてある。生活費なら貸す。だが友人知己それぞれ心の裡《うち》に金額を定めていて、この人のためにはこのくらい出しても惜しくないと思う金額だけしか貸さない。貸した以上、払って貰うことを考えたことはない。また払ってくれた人もない。
一、約束は必ず守りたい。人間が約束を守らなくなると社会生活は出来なくなるからだ。従って、私は人との約束は不可抗力の場合以外破ったことがない。ただ、時々破る約束がある。それは原稿執筆の約束だ。これだけは、どうも守り切れない。
一、貴君のことを誰が、こうこう言ったといって告げ口する場合、私は大抵聞き流す。人は、陰では誰の悪口でも言うし、悪口を言いながら、心では尊敬している場合もあり、その人の言った悪口だけがこちらへ伝えられてそれと同時に言った賞め言葉の伝えられない場合だって、非常に多いのだから。
一、私は遠慮はしない。自分自身の価値は相当に主張し、またそれに対する他人からの待遇をも要求する。私は誰と自動車に乗っても、クッションが開《あ》いているのに、補助座席の方へは腰をかけない。
一、自分の悪評、悪い噂などを親切に伝え
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