碁の手直り表
菊地寛

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【テキスト中に現れる記号について】

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ヒョロ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 我々の倶楽部と云うものが、木挽町八丁目にある。築地の待合区域のはずれに在る。向う側は、待合である。三階建のヒョロ/\とした家である。二階三間三階二間である。家賃は三分して、社と自分と直木とで三分の一ずつ出すことになっていた。しかし、それは規定だけで、全部社が立替えて払っていた。
 茲に直木は休んでいた。神奈川の富岡に家を立てたが、一万数千円を入れて出来上っても、一週間ばかり住んでいただけで、依然として倶楽部にいた。
 直木は死前四日目意識不明になって、ベッドから起き上って歩き出したとき、自分が「君寝ていなければダメじゃないか」と云うと、「二階の方が昼間は涼しいから二階へ降りて寝ようと思って」と云った。倶楽部のことを云っていたのである。三階に、支那のじゅうたんなどを敷きつめて、モダンな机などを置いてあったが、結局二階のカリンしたんの卓子一つしかない部屋で、床の間を後に、その卓子を前にして、い
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