を発するものなし)
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茂兵衛 それならば、しようがない。是非に及ばぬことじゃ。村一統知らぬ存ぜぬで、どなにひどい責苦にでもかかるのじゃ。その代り、みなもその覚悟してな、入牢《じゅろう》の腹を決めて下されな。俺《わし》も、ことによっては、磔にでもなんでもなる覚悟をするけにな。
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(皆凄惨な気に打たれる。そして動揺して、口々に眩き出す)
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村人五 藤作、わりゃ石投げたじゃねえか。
藤作 (驚いて)滅相もないこと、ぬかすな。われこそ真っ先に行ったけに、石投げたじゃねえか。
村人五 何をぬかす、この阿呆め。
藤作 お前こそ何ぬかすだ!
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(二人まったく掴み合いになろうとして、傍人から止められる)
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村年寄甲 誰ぞ村の難儀を救う人ないか。あの騒動のとき石投げた人はないか。
村年寄乙 村のために、
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