てしまう。甚兵衛はにこにこ笑っている)
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村人九 ああ、街道筋に提灯が見えるぞう。庄屋どんたちが、帰ったんじゃ。
村人十 おお見える。迎えに行こう。
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(一座緊張して、待っている。やがて、迎えに行った村人が、悄然として帰って来る。それに続いて庄屋と名主とが銘々手錠を入れられ、郡奉行の役人たちに守られて、首をうなだれて帰って来る。一座仰天する)
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村人たち (口々に)どうしたんじゃ。どななおとがめでそなな目におうたんじゃ。
村年寄甲 茂兵衛様、一体これはどうしたんじゃ。
茂兵衛 子細はあとでお話しする。まず、おしずまり下さい。
村年寄甲 おおしずまるとも。皆静かにせ。村の一大事じゃけに、みんな静かにしてくれ。
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(村年寄たち、庄屋を庇うて、座敷へ上げ、郡奉行の役人たちを案内する。庄屋正面へ出る。村人たち、水を打ったように静かになる)
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