した。こうして彼等は別れました。
三
イワンは畑をたった一畝残したきり、鋤き返しました。それでまだ腹は痛みましたが、残りの一畝を片づけるつもりで、またやって来ました。そして例の牝馬に鋤を取りつけて、仕事にかかりました。ところが、一畝鋤きおわってまた後へ鋤き返そうとすると、何か鋤が木の根にでも引っかかったように、動かなくなってしまいました。それは例の小悪魔が、両脚《りょうあし》を鋤先にからみつけて、引き戻しにかかっているのでした。
「これあ妙だ。」
とイワンは考えました。
「木の根っこなんて一つもなかったのに、さてはやはりあったんだな。」
イワンは片手を畝へ突っ込んで、探りました。すると、何かやわらかいものにふれたので、それを引っ掴んで出しました。見るとそれは木の根のようにまっ黒で、しかも、のたくり廻っているのでした。それはまぎれもなく、例の小悪魔でした。
「なんて汚えもんだ。」
イワンはそう言って、鋤にぶっつけようとして、それをふり上げました。すると小悪魔は苦しがって声をたてながら、言いました。
「どうかひどくしないで下さい。そのかわり何でもあなたの言いなり次
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