、果物や木の根を見つけて、たべました。
夕方になってから、向うに高い御殿が立っているのが、見つかりました。それで、そこにかくれるところがあるかもしれないと思って、行ってみることにしました。
御殿には、こくたんの大きな戸が閉まっていました。おすと、すぐに開きました。私どもは、中庭へ入って行きました。だれもいないで、ひっそりとしていました。
しかし、しばらく見まわっているうちに、骨《ほね》を小山のようにつみかさねてあるところへ来ました。そこには、物を焼く時に使うかなぐしが、いっぱいちらばっていました。
わけがわからないものですから、私たちは、だいぶ長い間、じっとそれを見ていました。すると、太い、雷《かみなり》のような音が聞えてきました。みんなが、その方をふり向くと、ちょうど、こくたんの戸がそろそろと開きかかっているところでした。そして、くれない[#「くれない」に傍点]と金をまぜたような夕やけの空の中に、ぬうーっとあらわれたのは、おそろしい大入道《おおにゅうどう》でした。
その大入道は、松やにのようにまっ黒な色をしていて、しゅろの木のように背が高いのです。ひたいのまん中に、一つ、ま
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