な」に傍点]にやるために、くわえて帰って来るのです。商人たちは、そこを待ちかまえていて、わしを巣《す》から追い出して、肉の中のダイヤモンドをとるという話であります。
やがて、わしがまいさがって来て、肉のきれをくわえて、とび上ってゆきました。それを見ているうちに、ふとある考えが浮かびました。それで、とてもだめだと思ってしょげていた私は、元気を出しました。
そこで、まずあたりをさがしまわって、なるべく大きそうなダイヤモンドを拾って、ポケットにつめこみました。それからまた、肉の一ばん大きなきれを見つけて、それを、あのずきんで作ったつなで、からだへしっかりと、むすびつけました。わしがまたすぐに、えものを取りにおりて来るだろうと思ったからです。それから、肉のきれの下にもぐって、地面の上へねそべりました。そして、どうなることかと、じっと待っていました。
するとまもなく、わしが、すうーっとおりて来ました。そして、私のからだにむすばれてあった肉をつかんで、さっととび上りました。そして、高い高い山の上の、岩の間の巣の中へ、私を落しこみました。
すると、思った通り、すぐに岩の後《うしろ》から人が出
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