かしらは、ろばの背中から、かめを庭へおろしながら、中にいる一人々々のどろぼうに、自分が庭へ小石を投げたら、それをあいずに、かめのふたをやぶって、出て来いとつげました。
どろぼうたちは、せまいかめの中で、じっとしんぼうしながら、あいずがあるのを、今か今かと待っていました。
さて、台所では、モルジアナが、夕ごはんのしたくに、てんてこまいをしていました。ところが、そのいそがしいまっさいちゅうに、ランプがふっと消えてしまいました。あいにく家に油がきれていました。それで、あの庭にあるたくさんの大きなかめから、少しくらいもらったっていいだろう、と思って、ランプを持って庭へ出て行きました。そして、一ばん手近のかめのそばまで行きました。すると中から、
「もう、出る時分《じぶん》ですか。」と言う、しゃがれた声が聞えました。モルジアナは、びっくりしました。けれども、りこう者のことですから、落ちついた声で、
「まだ、まだ。」
そう言って、次のかめのそばへ行きました。そのかめの中からも、同じようなことをたずねました。モルジアナは次から次と行きました。すると、どのかめからも、どのかめからも同じようなことを
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