だ何にもしていないのでございますよ。」
お母さんが手をもみながら、そう答えました。
アラジンは、伯父さんだという人が、じっと自分を見つめているので、はずかしそうに、うつむいていました。
「何か仕事をしなきゃあいけませんな。」
まほう使は、こうお母さんに言っておいて、さて、こんどはアラジンに、
「お前はいったい、どんな商売がしてみたいのかね。私はお前に呉服店《ごふくみせ》を出させてあげようと思っているのだが。」と、言いました。
アラジンは、これを聞くと、うちょうてんになってよろこびました。
あくる日、伯父さんだという人は、アラジンに、りっぱな着物を一そろい買って来てくれました。アラジンは、それを着て、この伯父さんだという人につれられて、町じゅうを見物して歩きました。
その次の日もまた、まほう使はアラジンをつれ出しました。そして、こんどは、美しい花園《はなぞの》の中を通りぬけて、田舎《いなか》へ出ました。二人はずいぶん歩きました。アラジンは、そろそろくたびれはじめました。けれども、まほう使がおいしいお菓子や果物をくれたり、めずらしい話を次から次と話して聞かせてくれたりするもので
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