あの女が人間としてのすべてを、あの戦いの生活の中で鍛え上げて来た結果なのだ。あの女の知ったことじゃないよ。
栄二 そうですか……。そんなことは、僕はまるで……。
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けい、茶を持って入ってくる。
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けい お番茶ですよ。
章介 ん。それで結構……。
栄二 いただきます。
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だまって、けいの顔をみながら呑む。
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けい 顔に何かついていますか。
栄二 いや……。ははは。
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顔をそらす。
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けい 叔父さま。私、栄二さんと二人でちょっとお話をしたいのですが……。
章介 いますぐかね。
けい ええ。
章介 そりゃ又急なことだ。それじゃ、俺は遠慮しよう。
けい すみません。追ったてるようで……。
章介 なになに、二階へ行って日向《ひなた》ぼっこでもして来
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