時は相手になる方が負けです。
未納 なんか言って済まし込まないでおいてよ。せつない気がするんだから。そこでと、えい遊んで来ようっと。妾なんかつまらないな。(川の方へ出て行く。外で)須貝さん。須貝君!
須貝 (出て行きかかるが、思い直して)なんだ!
未納 あ、後でいいや。(去る)
須貝 (外をみながら)ああ走る走る。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] 風みたようだわ。
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間。
[#ここで字下げ終わり]
須貝 どうも、大変なことになっちゃって、済みませんでしたね。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] いいえ、(笑う)そんなこと……妾、なんとも……
須貝 あの人の前じゃあ、うっかりしたことは言えませんね。年が下だと思って安心してると妙なところで叩《たた》きつけられて了《しま》いますよ。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] そう言うところが、ありますの。妾なんかだと、ああはゆきませんわ。
須貝 あなたはそれでいいです。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] そうでしょうか。
須貝 女の人が誰も彼も、未納君並だ
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