と、我々は、やっつけられどおしですよ。それじゃァ息が吐《つ》けない。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] 息つぎには、なりますのね。
須貝 失敬。悪口のつもりじゃないんですよ。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] 構いませんの。でも……妾、好きですわ、あの人。あんなに思ったことを、そのままずんずん運んでゆけたらどんなにいいかしら、と思うこともあるんだけど!
須貝 そう言うことが、ありますかなあ。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] ありますわ。でも、やっぱり駄目なんですの。
須貝 性質だから……尤《もっと》も、あんな風になりたいってのは、結局とてもあんな風になれないと言うことかもしれませんね。案外、向うでもあなたのようになってみたい、と思ってるかもしれないが……。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] まさか。
須貝 未納君はどうかしりませんよ。(笑う)そう言ってやったら、張り倒されるかもしれないな。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] 妾だって、ちっとも温柔《おとな》しくなんか、ないんですよ。
須貝 いや、
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