目よ、お姉さん。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] しらない。(行こうとする)
未納 (手を掴《つか》んで)逃げちゃ駄目よ。お姉さん此の頃、須貝さんの前へ来ると、何かもじもじしちゃって物言わないでしょ、ちゃんとわかってたわ。
須貝 おい。
未納 おい、だなんてェ。嬉しそうよ。にこにこしてるわ。
須貝 (慌てて)止せやい。じゃァ、どう言う顔をすればいいんだい、こういう場合。
未納 駄目々々、どんな顔したって駄目。
須貝 あなたの出鱈目なんか、笑って黙殺する他ないさ。(美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]に)そうですね。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] え、ほんとに……。
未納 わかったわ。須貝さんは美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]姉さんが好きなんだわ、それからお姉さんだって……ずっと前から、そうだと思ってた、妾。やっぱりそうだった。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] お止しなさいったら!
須貝 うっちゃっときましょう。下手《へた》に相手になると、いくらでも調子がつくばかりですよ。こう言う風に猛っている
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