、これで、そう悪い方とは言えないわ。妾は贅沢の方じゃないから、このくらいで結構我慢出来ないことはないわ。この家も、土地も、妾達自分のものになったし、主人はもう、そんなに働かなくったって撮影所の方でやって行けるし、妾は妾で、自分の好きな踊を勝手にやってゆけるし。
須貝 まったく贅沢は言えませんね。
諏訪 それに三人の子供だって……一人の息子と二人の女の子が、みんないい子だし……贅沢は言えないわ。昌允は少し陰気だけど、あれで頭ははっきりしていて、それに実務家だから妾は楽しみにしていますの。妾達の中にだって、一人くらいは実務家がいなくちゃァいけないわ。あの子は今にきっと何かやり出してよ。今は会計課員だけど。それに、未納、妾はまた未納が大すきなの、いい子だわ。あの子をいけない子だなんて誰だって思えやしないわ。陽気で元気で甘ったれで。(思い出して)ああ、今日妾あの子の髪を剪《つ》んでやらなくちゃァ、あの子は唄も巧いし……。踊は下手だけど。
須貝 ――。(呆れた顔)
諏訪 美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]だって、やっぱりいい子だわ。おとなしいけれど陰気って言うほどじゃないわ。器量
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