る計画なんかしてやしません。
諏訪 いいわ。妾も、怒らないことにします。
須貝 有難う御座います。
諏訪 妾が怒っちゃァ、御自分が勝ったとお思いになるでしょう、あなたは。
須貝 理由は、如何にもせよ、兎に角御立腹下さらないのは感謝します。
諏訪 感謝なんかしないで下さい。妾は、あなたの被仰ることなんか取上げませんの。妾もあなたとは親子ほど年が違うんだから……。
須貝 そうでもありません。姉弟ほどでしょう。
諏訪 (早口にたて続けに云う)妾が、あなたに今迄よくしてあげたのも、今あなたが、そんな後先《あとさき》見《み》ずな莫迦なことを被仰った後で、平気でいるのも、つまり妾があなたを相手にしてない証拠だと思って下さいよ。よござんすか。
須貝 はあ。
諏訪 妾は、今の暮らしにちっとも不平なんかありませんの。充分満足していますの。主人は妾を自由に放っといて呉れます。難を言うと少し放っとき過ぎるくらいのものだけど、でもそれは、大した瑕《きず》じゃァないでしょう。世話をやき過ぎるのよりは、やかな過ぎる方が、どっちかと言えば我慢し易いのよ。
須貝 そう言うことになりますね。
諏訪 それに、暮らし向きも
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