、親達の方が手っとり早く共鳴してしまったわけなんで、いきなり兄妹になっちゃった。
須貝 ふむ。
昌允 あなただったら……どうします。
須貝 困るでしょう。あなたは?
昌允 それを考えてるんです。
須貝 しかし……もう一つの方から考えてみると別に変でもないな。
昌允 早い遅いの問題ですからね。僕達の方が先だったら、今頃は逆に親爺達の方で困ってるわけだから。
須貝 (笑って)そっちの方が問題は少なかったかもしれないが。
昌允 しかし、もう駄目ですよ、その方は。
須貝 取返しがつきませんね。
昌允 だから言うんです。あなたがもし、二人の何方《どちら》かを選ばれるんだったら、未納にして下さい。
須貝 未納君をね。
昌允 厭ですか。
須貝 厭じゃないが。
昌允 未納の方でも、あなたが好きらしいですよ。
須貝 冗談いっちゃァ、いかん。
昌允 あなたもうっかりしていますね。尤も、そう言うものだが。
須貝 若《も》し……若し僕が美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]さんを貰いたいと言ったらどうするんです。仮定ですよ。
昌允 そんなことは言わないでしょう。
須貝 驚いたなあ。
昌允 困るんで
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