昌允 どうも言い難いな。
須貝 必要があることなら言うべきですね。
昌允 僕は美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]を……美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]をね……(投げて)口では言えやしませんよ。
須貝 美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]さんを……。(顎を撫でている)
昌允 僕達の家庭が並の家庭でないことは、御存じでしょう。
須貝 いくぶん……はね。
昌允 美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]は母親の子供で、僕と未納とは親爺の子なんです。
須貝 そして先生と奥さんは御夫婦で……クイズですか、これは。
昌允 (吐くように)持寄り世帯ですよ、一種の。僕と美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]とは他人です。
須貝 はあ、なるほど、辛《や》っとわかった。
昌允 あなたは、どう思います。僕が美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]を好いちゃァ、不道徳だと思いますか。
須貝 ちょっと考えると妙ですね。
昌允 よく考えてみて下さい。僕は以前から美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]が好きでした。ところが
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