貝 しかし、その後のツアーベルは……。
昌允 前のと違う。そう被仰《おっしゃ》るんでしょう。怪しいですね、そりゃ。
須貝 怪訝《おか》しいじゃありませんか。どうして。
昌允 僕は、それくらいなら、同じツアーベルを続けてやってる方がいいと思いますね。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] お兄さん、もういいわ、そんなに振らなくったって。
須貝 考え方の相違ですね。どっちがどうと言うことは言えないと思う。もういいじゃありませんか。
昌允 ええ(注いでやる)
須貝 有難う。
昌允 不味《まず》いかもしれませんよ。
須貝 いや。あなたは、どうして先生の仕事をなさらないんです。
昌允 (立ちかける美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]に)おい、何処へ行くんだ。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] 妾、帰ったまんまで着換えもしてないんだもの。
昌允 そうか。しかし、折角つくったものだ。飲んでゆかないか。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] 駄目、お兄さんが作ると、ウイスキーなんだもの。
昌允 少しくらい、飲んだ方がいいんだよ。
美※[#「に
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