[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11]、グラス、シェーカーなどを台に載せて入って来る)まあ、意気込んでいるには、いるわけなんだが…それがねえ……
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] 冷蔵庫にこれっぽっち、氷……。ビタースも心細くってよ。
昌允 ん。(立ち上って、飲みものを造りにかかる)今日は何処へ行って来たんだ。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] 妾? 母さんと衣装|査《しら》べに。
昌允 衣装査べって、此の間、済ませたんじゃないのか。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] でも、なんだか安心出来ないんだって。いざと言う時になって、足りなかったりすると困るからって……。
昌允 前ので懲《こ》りたらしいな。
美※[#「にんべん+予」、第3水準1−14−11] 須貝さん御存じ、この前の公演の時にね、もうベルが鳴り始めてから、持ち道具が一つ足りないのに気がついて大騒ぎしたんですよ。
須貝 ちっとも気がつかなかった。そんなことがあったんですか。
昌允 そう一々、客席に知れちゃァ、仕様がない。
須貝 こんだのは、なんだか大変なんですってね。
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