をやりたいつもりです。
昌允 家の親爺《おやじ》もそうですね。
須貝 先生もそうです。そっくり真似るわけにはゆきませんがね。
昌允 天気の関係やなんかもあるわけでしょう。
須貝 それは、あるわけです。
昌允 僕は、こないだ、ちょっと親爺の写真のかかっている小屋を覗《のぞ》いてみたんだけど……駄目ですね。あれで、会社じゃどうなんでしょう。
須貝 先生ですか。どうってことは無いです。やっぱり大監督ですね。
昌允 惰性なんですね、それは。僕は見ていてすっかり退屈してしまったな、僕みたいなものがそうなんだから、見馴れた連中は如何《どう》なんだろうと思って、周辺《あたり》を見回したら、やっぱりみんな思い屈したような顔をしてましたよ。楽しんでるような顔はまるで無かったな。
須貝 どうも、そう言われると、こっちが大変つらいわけなんだが。これで活動屋も楽な商売じゃありませんからね。
昌允 結局、なんて言う……つまり……センスの問題なんじゃないですか。須貝さんなんか、若い監督さんはやっぱり違うでしょう、どこか。一本になられたんだし、期待しています。
須貝 さあ、そう期待されると、益々困るんです……(美※
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