、小平太も蒲団の上に坐りなおした。「だが、どんなことを聞こうとも、かならず吃驚《びっくり》して騒ぐまいぞ」
おしおは黙ってうなずいてみせた。
「今まで隠しておいたは、なるほどわしが悪かった。とうに打明けようとも思ったが、それもならず、いわばわしは最初からそなたを瞞《だま》していたようなものじゃ。ま、せいてくれるな。よくしまいまで聞いてから、そなたの存分にしてくれたがいい、じつは去年三月のことがあって、一家中残らず浪人してちりぢりばらばらになったとはいうものの、相手の吉良家はあのとおり何のおかまいなし、このまま御主君の妄執《もうしゅう》も晴らさずにおいては、家中の者の一分《いちぶん》立《た》たずと、御城代大石内蔵助様始め、志ある方々が集まって、寄り寄り仇討の相談をなされた。その連名の中へ、わしも去年の暮から加わったのじゃ」
おしおは眼を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》ったまま、目《ま》じろぎもせず男の顔を見詰めていた。
「林町に家を借りて、堀部安兵衛どのそのほかの方々と同宿しているのも、じつを言えば仇家《きゅうか》の動静を窺《うかが》うためにほかならない。同志の方々
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