った。
「だって心配そうにしていらっしゃるんだものを」
「気に懸けんでもいい。子どもが生れるとなれば、俺もいっそう気が締るというものだ。とにかく、お前にこの上の苦労はさせんから、心配するな。それよりも一杯注いでくれ!」と、また盃を突き出した。
おしおはちょっと相手の顔を見返したまま、黙ってその盃を充《みた》した。
「心配せんでもいいぞ」と、小平太はまた繰返した。「日ごろ言ったわしの言葉に間違いはないからな。それに間違いさえなけりゃ、お前が気を揉《も》むことはあるまい」
「ええ、それはもうそうに違いございませんけれど……」
「それならもっと注いでくれ、わしは今夜久しぶりに酔ってみたいのだ」
こう言って、小平太はおしおに酌《しゃく》をさせては、ぐいぐいと飲み干した。そして、一本の銚子が空になると、また二本目までつけさせた。が、二本目を飲みきらないうちに、苦しくなって、そこに倒れてしまった。そして、横になったまま、苦しそうに胸を波打たせていた。おしおは気を揉んで、枕を当てがったり、頭を水で冷したり、いろいろ手を尽して介抱してくれた。それまでは覚えていたが、そのうちに少し胸先《むなさき》が
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