》たないうちに、おしおは五合徳利に風呂敷に包んだ皿を提《さ》げて戻ってきた。そして、しばらく台所でこそこそ遣っていたが、間もなく膳の上に肴《さかな》と銚子とを揃えて持ちだした。小平太も火燵《こたつ》から這《は》いだして、膳に向ったが、さされるままに一つ二つと盃《さかずき》を重ねた。日ごろは三杯と飲まぬうちにもう真赧《まっか》になってしまうのだが、今夜はどうしたのやらいくら飲んでも酔いを発しない。薬でも呑むようにぐっと呑み乾しては、そのまままた猪口《ちょこ》を差出すので、
「まあ、そんなに召しあがってようござりますか」と、おしおは注ぎかけた銚子を控《ひか》えて、思わず窘《たしな》めるように言った。
「なに、かまわぬ、注いでくれ」と、小平太は持った盃《さかずき》を突きつけるようにした。
「まあ、泊って行ってもよいとおっしゃるなら、少しはお酔いになってもよかろ」と、おしおは思いなおしたように、またなみなみと注いだ。
 小平太はその盃にちょっと唇をつけたまま、下に置いて、
「さっき言った、わしに話したいというのは、そりゃ何だ?」と、不意に言いだした。
「ええ」と、おしおはみるみる顔を赧《あか》
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