《れいこういんでん》御尊讐《ごそんしゅう》吉良上野介殿《きらこうづけのすけどの》討取るべき志これある侍《さむらい》ども申合せ候《そうろう》ところ、この節におよび大臆病者ども変心《こころをかえ》退散|仕《つかまつり》候者|撰《えら》み捨て、ただ今申合せ必死相極め候|面々《めんめん》は、御霊魂|御照覧《ごしょうらん》遊《あそば》さるべく候こと。
 一、上野介殿御屋敷へ押込《おしこみ》働《はたらき》の儀、功の浅深《せんしん》これ有《ある》べからず候。上野介殿|印《しるし》揚《あげ》候者も、警固《けいご》一通《ひととおり》の者も同前たるべく候。然《しかれ》ば組合《くみあわせ》働役《はたらきやく》好《このみ》申すまじく候。もっとも先後の争《あらそい》致すべからず候。一味合体《いちみがったい》いかようの働役に相当《あいあたり》候とも、少しも難渋《なんじゅう》申すまじきこと。
 一、一味の各《おのおの》存寄《ぞんじより》申出《もうしいで》られ候とも、自己の意趣を含《ふくみ》申|妨《さまたげ》候儀これ有《ある》まじく候。誰にても理の当然に申合すべく候。兼て不快の底意これ有《あり》候とも、働の節互に助け
前へ 次へ
全127ページ中62ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
森田 草平 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング