、老人は言問団子《ことといだんご》に休んで茶を飲んだ。この老人はまったく足が達者で、記者はとうとう梅若《うめわか》まで連れて行かれた。
「どうです、くたびれましたか。年寄りのお供は余計にくたびれるもので、わたしも若いときに覚えがありますよ。」
長い堤《つつみ》を引返して、二人は元の浅草へ出ると、老人は辞退する道連れを誘って、奴《やっこ》うなぎの二階へあがった。蒲焼で夕飯を食ってここを出ると、広小路の春の灯は薄い靄《もや》のなかに沈んでいた。
「さあ、入相《いりあい》がボーンと来る。これからがあなたがたの世界でしょう。年寄りはここでお別れ申します。」
「いいえ、わたしも真直《まっす》ぐに帰ります。」
老人の家は新宿のはずれである。記者の家も麹町である。同じ方角へ帰る二人は、門跡前《もんぜきまえ》から相乗りの人力車に乗った。車の上でも話しながら帰って、記者は半蔵門のあたりで老人に別れた。
言問では団子の馳走になり、奴では鰻の馳走になり、帰りの車代も老人に払わせたのであるから、若い記者はそのままでは済まされないと思って、次の日曜に心ばかりの手みやげを持って老人をたずねた。その家のありか
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