が、日がだんだんに経つにつれて、気分のよい日の朝晩には縁側へ出て小さい庭をながめることもある。わたしが現在住んでいるのは半蔵門に近いバラック建の二階家で、家も小さいが庭は更に小さく、わずかに八坪余りのところへ一面に草花を栽えている。
若い書生が勤勉に手入れをしてくれるので、わたしの病臥中にも花壇はちっとも狼藉《ろうぜき》たる姿をみせていない。夏の花、秋の草、みな恙《つつが》なく生長している。これほどの狭い庭に幾種の草花類が栽えられてあるかと試みにかぞえてみると、ダリヤ、カンナ、コスモス、百合、撫子《なでしこ》、石竹《せきちく》、桔梗、矢車草、風露草《ふうろそう》、金魚草、月見草、おいらん草、孔雀《くじゃく》草、黄蜀葵《おうしょつき》、女郎花《おみなえし》、男郎花《おとこえし》、秋海棠《しゅうかいどう》、水引、鶏頭、葉鶏頭、白粉《おしろい》、鳳仙花、紫苑、萩、芒《すすき》、日まわり、姫日まわり、夏菊と秋の菊数種、ほかに朝顔十四鉢――まずザッとこんなもので、一種が一株というわけではなく、一種で十余株の多きに上《のぼ》っているのもあるから、いかによく整理されていたところで、その枝や葉や花が
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