っているのは、シナのあやつり人形の首で、これはちょっと面白いものです。先年三越呉服店で開かれた「劇に関する展覧会」にも出品したことがありました。この人形の首をはじめて見たのは、わたしが日露戦争に従軍した時、満洲の海城《かいじょう》の城外に老子《ろうし》の廟《びょう》があって、その祭日に人形をまわしに来たシナの芸人の箱のなかでした。わたしは例の癖がむらむらと起ったので、そのシナ人に談判して、五つ六つある首のなかから二つだけを無理に売って貰いました。なにしろ土焼きですから、よほど丁寧に保管していたのですが、戦場ではなかなか保護が届かないので、とうとう二つながら毀《こわ》れてしまいました。がっかりしたが仕方がないので、そのまま東京へ帰って来ますと、それから二年ほどたって、「木太刀」の星野麦人《ほしのばくじん》君の手を経て、神戸の堀江《ほりえ》君という未見の人からシナの操り人形の首を十二個送られました。これも三つばかりは毀れていましたが、南京《ナンキン》で買ったのだとか云うことで、わたしが満洲で見たものとちっとも変りませんでした。わたしは一旦紛失したお家《いえ》の宝物《ほうもつ》を再びたずね出
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