上演された。
 もう此の後は新しいことであるから、くだくだしく云うまでもない。要するに茲《ここ》らが先ずひとくぎりで、四十二年以来は素人の脚本を上場することが別に何らの問題にもならなくなった。鉄の扉もだんだんに弛《ゆる》んで、いつとは無しに開かれて来た。勿論、全然開放とまでは行かないが、潜《くぐ》り門ぐらいはどうやらこうやら押せば明くようになって来た。
 普通の劇場は一般の観客を相手の営利事業であるから、芸術本位の脚本を容れると云うまでにはまだ相当の時間を要するに相違ないが、ともかくも商売になりそうな脚本ならば、それが誰の作であろうとも、あまり躊躇《ちゅうちょ》しないで受取るようになったのは事実である。一方には文芸協会その他の新劇団が簇出《そうしゅつ》して、競って新脚本を上演して、外部から彼らを刺戟《しげき》したのも無論あずかって力がある。又それに連れて、この数年来、幾多の新しい劇作家があらわれたのは誰しも知っているところである。
 新進気鋭の演劇研究者の眼から観たらば、わが劇壇の進歩は実に遅々《ちち》たるもので、実際歯がゆいに相違ない。しかし公平に観たところを云えば、成程それは兎の如
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