二番目は円朝《えんちょう》物の「荻江《おぎえ》の一節《ひとふし》」と内定していたのであるが、それも余り思わしくないと云うので、当時の歌舞伎座専務の井上竹二郎《いのうえたけじろう》氏から何か新しいものはあるまいかと鬼太郎君に相談をかけると、鬼太郎君は引受けた。かねて條野採菊翁と私の三人合作で書いてみようと云っていた「金鯱」というものがあるので、鬼太郎君は其の筋立てをすぐに話すと、井上氏はそれを書いて見せてくれと云った。
 それはかの柿《かき》の木金助《ききんすけ》が紙鳶《たこ》に乗って、名古屋の城の金の鯱鉾《しゃちほこ》を盗むという事実を仕組んだもので、鬼太郎君は序幕と三幕目を書いた。三幕目は金助が鯱鉾を盗むところで、家橘の金助が常磐津《ときわづ》を遣《つか》って奴凧《やっこだこ》の浄瑠璃めいた空中の振事《ふりごと》を見せるのであった。わたしは二幕目の金助の家を書いた。ここはチョボ入りの世話場《せわば》であった。採菊翁は最後の四幕目を書く筈であったが、半途で病気のために筆を執ることが出来なくなったので、私が年末の急稿でそのあとを綴《と》じ合せた。
 この脚本を上演するに就いては、内部では
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