ですか。」
「これはいい道連れが出来ました。」
 これできょうの一行中に四人の日本人を見いだしたわけである。たがいに懐かしそうな顔をして、しばらく立ち話をしていると、クックの案内者が他の人々を案内して来て、レザーヴしてある列車の席をそれぞれに割りあてる。日本人はすべて一室に入れられて、そのほかに一人の英国紳士が乗り込む。紳士はもう六十に近い人であろう、容貌といい、服装といい、いかにも代表的のイングリッシュ・ゼントルマンらしい風采《ふうさい》の人物で、丁寧に会釈《えしゃく》して我々の向うに席を占めた。O君があわてて喫《す》いかけた巻莨《まきたばこ》の火を消そうとすると、紳士は笑いながら徐《しず》かに云った。
「どうぞお構いなく……。わたしも喫います。」
 七時五十三分に出る筈の列車がなかなか出ない。一行三十余人はことごとく乗り込んでしまっても、列車は動かない。八時を過ぎて、ようように汽笛は鳴り出したが、速力はすこぶる鈍《にぶ》い。一時間ほども走ると、途中で不意に停車する。それからまた少し動き出したかと思うと、十分ぐらいでまた停車する。英国紳士はクックの案内者をつかまえて其の理由を質問して
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