う場所を撰んで、神を勧請《かんじょう》したという昔の人の聡明に驚かざるを得ない。ここには限らず、古来著名の神社仏閣が多くは風光|明媚《めいび》の地、もしくは山谷嶮峻の地を相《そう》して建てられていると云う意味を、今更のようにつくづく感じた。これと同時に、古来人間の信仰の力というものを怖ろしいほどに思い知った。海陸ともに交通不便の昔から年々幾千万の人間は木《こ》の葉のような小さい舟に生命を托して、この絶島《はなれじま》に信仰の歩みを運んで来たのである。ある場合には十日も二十日も風浪に阻《はば》められて、ほとんど流人《るにん》同様の艱難《かんなん》を嘗《な》めたこともあったろう。ある場合には破船して、千尋《ちひろ》の浪の底に葬られたこともあったろう。昔の人はちっともそんなことを怖れなかった。
今の信仰の薄い人――少なくとも今のわたしは、ほとんど保険付きともいうべき大きな汽船に乗って来て、しかも食料欠乏の憂いは決して無いという確信を持っていながら、一夜の雷雨にたちまち不安の念をきざすのである。こんなことで、どうして世の中に生きていられるだろう。考えると、何だか悲しくなって来た。
雷雨は漸
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