おもて》を着けていた。袴は普通のもので、めいめいの単衣《ひとえもの》を袒《はだ》ぬぎにして腰に垂れ、浅黄または紅《あか》で染められた唐草模様の襦袢《じゅばん》(?)の上に、舞楽の衣装のようなものを襲《かさ》ねていた。頭には黒または唐黍《もろこし》色の毛をかぶっていた。腰には一本の塗り鞘《ざや》の刀を佩《さ》していた。
 この四人が野蛮人の舞踊のように、円陣を作って踊るのである。笛と太鼓はほとんど休みなしに囃《はや》しつづける。踊り手も休み無しにぐるぐる廻っている。しまいには刀を抜いて、飛び違い、行き違いながら烈しく踊る。単に踊ると云っては、詞《ことば》が不十分であるかも知れない。その手振り足振りは頗《すこぶ》る複雑なもので、尋常一様のお神楽のたぐいではない。しかも其の一挙手一投足がちっとも狂わないで、常に楽器と同一の調子を合わせて進行しているのは、よほど練習を積んだものと見える。服装と云い、踊りと云い、普通とは変って頗る古雅《こが》なものであった。
 かたわらにいる土地の人に訊くと、あれは飯野川《いいのがわ》の踊りだと云う。飯野川というのは此の附近の村の名である。要するに舞楽を土台にし
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